2025年3月24日(月)正式に浄瑠璃寺南のエリアが候補地の一つに
第69回奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会で浄瑠璃寺南のエリアを候補地に加えることが正式に決定されました。
- (2025年3月25日(火) 午後8時31分5秒 更新)

終了後メディアの取材に応じる中川委員長。
賛成多数で条件緩和が決定
昨日2025年3月24日午後18時より開催された「第69回奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会」において、冒頭、収集運搬コストの条件を緩和して浄瑠璃寺南のエリアを奈良市クリーンセンター建設候補地に追加するかどうかが再度議論されました。
その結果、浄瑠璃寺南のエリアとその次に収集運搬コストが高いエリアとの間に比較的大きなコストの差がが見られるので、浄瑠璃寺南のエリアまでは候補地に加えるのが合理的とする意見などが出て、浄瑠璃寺南のエリアを奈良市クリーンセンター建設候補地に追加することが賛成多数で正式に決定されました。

当会(浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会)は、委員の皆さまに宛てて事前に要望書(下記)をお送りしましたが、当会が提示させていただいた論点が何一つ顧みられることなく、浄瑠璃寺南のエリアが正式に候補地に追加されてしまったことを大変残念に思います。
奈良市クリーンセンター候補地選定に関するお願い
貴職におかれましては長年奈良市の懸案であり続けるゴミ焼却場問題のためにご尽力をいただき心より感謝申し上げます。
さて、現在進められている候補地選定の経緯は、全国に読者を持つ文化・宗教専門紙で特に大きく取り上げられ、浄瑠璃寺南のエリアが再び候補地に加わりかねない状況に注目が集まっております(別添「新聞報道資料」参照)。また今般木津川市の三月議会でも市議から懸念の声が上がったところです。
前回第68回計画策定委員会において、一人の委員が浄瑠璃寺南のエリアを候補地に加えるために収集運搬コスト1.2倍という条件を緩和するべきという趣旨の意見を述べられました。条件には「根拠がない」ともおっしゃられましたが、これは同条件が公害調停で定められた建設地の条件に含まれていないということを述べられたものと愚考いたします。また浄瑠璃寺南のエリアを念頭に「前回良い場所とわかったところが入らないのはおかしく思われる」といったこともおっしゃられました。
しかし、浄瑠璃寺南のエリアへの移転は七年半前に行き詰まり、市長が断念を表明せざるを得なくなった事実を忘れてはなりません。むしろ当時の建設計画策定委員会が、公害調停に定められた建設地の条件を偏重するあまり、長い歴史を持ち貴重な埋蔵文化財や遺跡が多い奈良市特有の事情や山間部の市民生活への影響など、公害調停の定めにない要素を十分に考慮しなかった結果としての断念であったと考えております。浄瑠璃寺南のエリアが抱えるさまざまな問題は、今も何一つ解消されておりません。
現在私どもは、浄瑠璃寺南のエリアが候補地の一つとなることが正式に決定された場合に備え、署名活動再開の準備を進めております。別添チラシは署名活動で配布するチラシの試作版です。こちらの中面の通り浄瑠璃寺南のエリアは、西に中川寺跡、東に鳴川山寺跡、南東の山の上に二ノ尾墓地を内包し、北辺に興福寺僧らが奈良から浄瑠璃寺や岩船寺さらには笠置寺を行き来した古道が通ります。現在東鳴川町の応現寺前に置かれている平安時代の層塔残欠は、元は二ノ尾墓地にあったもので、弘法大師空海の姉である智縁尼の供養塔とも伝わります。岩船寺縁起によれば、岩船寺の前身寺院である報恩院は、鳴川山善根寺の子院として智泉大徳により初め鳴川の地に建立されたといいます。智縁尼は智泉大徳の御母堂です。加えて、奈良市民の飲み水とするため須川ダムの水を緑ヶ丘浄水場に流す自然流下導水路が、浄瑠璃寺南のエリアの地下を東西に貫いています。中川寺跡を史跡公園として整備するというのであればともかく、この場所はどのような開発にも不向きと言わざるをえません。ところが前回の選定ではこうしたことが全くと言っていいほど議論されなかったように思います。
また2017年には木津川市の調査により赤田川の著しい有機汚濁が明らかとなりました。市長が浄瑠璃寺南のエリアへの移転断念を表明されたのはその直後です。赤田川の水質汚濁原因は奈良市側にありますが、奈良市は赤田川で著しい水質汚濁が発生していると認めることにさえ消極的で、これまでのところ問題の解決にあまり進展が見られません。そのため2017年以降、赤田川の下流地域では、従来にも増して奈良市に対する不信感が強まっているのが現状です。浄瑠璃寺南のエリアにゴミ焼却場が建設された場合、その排水はやはり赤田川に流されます。赤田川の水質汚濁はすでに限界を超えており、奈良市側からこれ以上赤田川に汚水が流されることは、下流地域にとって到底受け入れられないことです。
以上の通り、浄瑠璃寺南のエリアは奈良市のごみ焼却場建設地とするのに全く「良い場所」ではありません。第67回の計画策定委員会では収集運搬コスト1.2倍という条件が全会一致で決定されました。一度は委員全員が同条件に合理性を認めたにもかかわらず、浄瑠璃寺南のエリアを候補地に含めるために後から同条件を緩和するというのは本末転倒ではないでしょうか。委員の皆さまにおかれましては、同条件の緩和について熟慮・再考をしていただき、浄瑠璃寺南のエリアを候補地に加える決定をなさいませんよう強く願うところです。
今回の再選定では埋蔵文化財等についても点数で評価されることとなりました。しかしながら、埋蔵文化財包蔵地として既に周知されている範囲のみが考慮され、未調査のため埋蔵文化財包蔵地として周知されていない中川寺跡などは、当日配布された資料を見る限り評価の対象とはならないようです。したがって前回選定時と比べ再選定の評価点に大きな変動が生じる可能性は低いとも考えられます。そのため当会では浄瑠璃寺南のエリアが再び最終候補地に残りかねないことを強く危惧しているところです。
なお、次回奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会は2025年5月2日10時から開催されます。次回は事務局が各候補地の評価点を提示し、その評価点が妥当かどうか検討した上で、総合点の上位複数箇所を最終候補地とする答申が決定される予定です。
そこで当会では、近日中に署名活動を再開したいと考えております。準備が整い次第お知らせいたしますので、どうか今一度のご協力をお願いいたします。

資料
今回の候補地と前回選定時の候補地の対応関係
大和田町 | 旧③-4 |
七条町 | 新規 |
北之庄町 | 旧⑤-1 |
今市町・池田町 | 旧⑤-2の一部(前回は活断層から300m以内を除くと面積を確保できないとして除外) |
山町・柴屋町 | 旧⑤-5南半分(前回は活断層から300m以内を除くと面積を確保できないとして除外) |
川上町・中ノ川町 | 旧⑥-1 |
中ノ川町・東鳴川町 | 旧⑥-2 |
当日配布された資料等のダウンロードページ
https://www.city.nara.lg.jp/site/shingikai/232020.html
評価点に関する資料
追加検討箇所の確認について [PDFファイル/5.84MB]
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/192154.pdf
候補地の比較評価基準(案) [PDFファイル/192KB]
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/192155.pdf
参考資料 [PDFファイル/5.91MB]
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/192156.pdf
前回絞り込まれた四候補地の追加の検討項目について
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/190278.pdf
第 9 回委員会 資料17 ごみ焼却施設の候補地選定について(素案)
※前回の候補地の場所がわかる地図など
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/5107.pdf
第 30 回委員会 資料63 ごみ焼却施設の候補地選定について
※前回あらかじめ除外されなかった候補地の評価点
https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/6291.pdf
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