2016年2月15日(月)第一回目の署名提出を行いました
2016年2月15日、浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会は、「浄瑠璃寺南に奈良市ゴミ焼却場(クリーンセンター)を建設する現計画を撤回するよう求める」署名を奈良市に提出するとともに、本署名活動の継続を発表し、さらなる署名を広く呼びかけました。
- (2016年2月17日(水) 午前1時46分23秒 更新)
署名提出後行った記者発表のようす。呼びかけ人・賛同人のほか学生有志のみなさんも駆けつけてくださいました。前列左から、小嶋一郎様、宮城泰年ご門主、当会代表工藤良任、副代表佐伯功勝、中村一先生。右側ソファー左から、関川鶴祐師、植村海宥師。後列左から、学生有志のお二人、黒板の右、奥田太郎先生。
署名提出の概要
浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会(発起人:般若寺住職 工藤良任〈代表〉、浄瑠璃寺副住職 佐伯功勝、弥勒の道プロジェクト 遠藤千尋)は、昨年7月10日、「浄瑠璃寺南に奈良市ゴミ焼却場(クリーンセンター)を建設する現計画を撤回するよう求める」署名活動を開始しました。本署名活動開始後、これまでに北海道から沖縄、さらには海外からも、奈良市の計画を憂う多くの人々から署名が寄せられ、2016年2月13日現在までに、当会では15,630筆の署名をおあずかりしています。
さて、つい先頃、2016年1月13日、当会が署名活動を開始して以降はじめて、奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(第55回/渡辺信久委員長/)が開かれ、奈良市より基本計画(案)が提示されました。このとき委員からは、予告なく基本計画(案)が提示されたことに対し、とまどいの声が多くあがったとのことです。
参考)奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会
http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1354252307019/index.html
そこで私たちは、次に奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会が開かれる前に、早急にみなさまからお預かりした署名を奈良市に提出する必要があると考えました。本署名の存在を公にすることで、同委員会のほか奈良市議会での議論において、本署名の主張が参照され得るようにするためです。また私たちは、今回の署名提出で本署名活動を終了することはありません。むしろ今回の署名提出発表によって、奈良市が浄瑠璃寺のすぐ南に新しくゴミ焼却場を建設しようとしていることを広く周知し、さらなる署名につなげたいと考えています。私たちは、奈良市が現計画を撤回するまで本署名活動を継続し、何度でも署名を提出します。
すぐ北に浄瑠璃寺と浄瑠璃寺奥之院、東には岩船寺の源流でもある鳴川山寺推定地、西には中川寺跡と、奈良市が選んだ最終候補地は、かつて小田原とよばれ、南都の先人達が修行と教学に励んだ、まさに「南都の別所」と言うべき、歴史ある地のただ中にあります。そのような場所に、現代世代のごみを焼く煙突を建てるというのは、世界遺産を多数擁する古都奈良にふさわしい行いなのでしょうか。私たちは後世に申し開きのできない、将来に禍根を残す計画だと考えています。なお、奈良市クリーンセンター最終候補地を決定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会には、歴史の専門家も文化財の専門家も加わっていません。
本署名の主張やその根拠については、別紙署名用紙のほか公式サイト(https://save-joruriji.org/)をご参照ください。署名提出の詳細については別紙をごらんください。
署名提出先
仲川げん 奈良市長
提出物
- 自筆署名(15,630筆)
- 呼びかけ人一覧(16名)
- 名前の公表を承諾された賛同人のみなさまのお名前とコメント(318名)
- Change.org に寄せられたインターネット署名とコメント(343筆)
※賛同人の一覧とコメントについては下記URLをご参照ください。
https://save-joruriji.org/supporters/
出席者
発起人
- 般若寺 住職 工藤 良任(代表)
- 浄瑠璃寺 副住職 佐伯 功勝
- 弥勒の道プロジェクト 遠藤 千尋
呼びかけ人
- 宮城 泰年(本山修験宗第四代管長・聖護院門跡五十二世門主・京都宗教者平和協議会理事長)
- 中村 一(京都大学名誉教授 造園学)
- 関川 鶴祐(臨済宗僧侶・薩摩琵琶奏者)
- 小嶋 一郎(京都感動案内社代表役員・宣京師・仏像ソムリエ)
賛同人
- 奥田 太郎(南山大学准教授 倫理学)
- 植村 海宥(岩船寺(木津川市)副住職)
- 岸野 亮哉(浄土宗西山禅林寺派専修寺(京都市左京区)副住職、写真家)
そのほか、学生有志の皆さん、この問題に関心を寄せる市民の皆さん。
2016年2月15日の動き
11:30 | 奈良市役所市長室にて署名提出 |
11:45 | 奈良市役所記者室にて署名提出と署名継続に関する記者発表・質疑応答(30分) |
13:00 | 近鉄奈良駅行基像前で街頭署名活動(30分ほど) |
※呼びかけ人のみなさまも上記のすべてにご参加いただきました。
呼びかけ人・賛同人のみなさまからのコメント
宮城 泰年 (本山修験宗第四代管長・聖護院門跡五十二世門主・京都宗教者平和協議会理事長)
極楽浄土を現世に現出する理想をもって作られた寺は当尾の里と一体となってたくさんの人々に安らぎを与えて来た聖地と思う。その環境を損なう恐れの大きい施設が設けられることは受け入れられない。
細川 涼一 (京都橘大学文学部教授 日本中世史)
浄瑠璃寺や中川寺跡周辺は、堀辰雄の「浄瑠璃寺の春」からもうかがえるように、お寺の歴史的景観と周囲の自然が一体になってこそ意味のあるものです。ゴミ焼却場建設に反対します。奈良市におきましても将来に禍根を残さないよう、どうか計画のご再考をくださるよう、心からお願い申し上げます。
中村 一 (京都大学名誉教授 造園学)
浄瑠璃寺庭園は特別名勝として、平安期の庭園を最もよく残しており、第一級の国際的文化遺産である。だから、庭の背景はもとより、庭にいたる田園風景の中に、高い煙突や煙が現れては、日本人の無神経さが国際的に問われよう。
安本 義正 (京都文教短期大学学長)
ゴミ焼却場建設が撤回されることを切に願います。
関川 鶴祐 (臨済宗僧侶・薩摩琵琶奏者)
地球規模での環境の悪化、グローバリズムによる固有の文化・伝統の危機が大きなテーマとなっている現代…。奈良市クリーンセンター建設の問題は一地域にとどまらず、未来を見据えた“生活”の在り方──文化的豊かさを享受し、未来に伝え、更に発展させていくという、日本人としてのアイデンティティが問われる重大なテーマです。真剣に考え、悔いのない方途を探っていただきたいと強く願っております。
小嶋 一郎 (京都感動案内社代表役員・宣京師・仏像ソムリエ)
浄瑠璃寺並びにその周辺の素晴らしさを知る人は、仏教的浄域に世俗の施設が入って来ることを望んではおりません。
吉永 明弘(江戸川大学社会学部准教授 環境倫理学)
多くの反対がある中で、環境の改変が強行される社会は、地域文化を尊重し、環境を守ることを謳うことのできる社会ではありません。奈良市の市政にとっても汚点とならないよう、賢明な判断をしてもらいたいものです。計画が撤回され、環境が守られることを祈念しております。
当日の様子
署名提出では誰が進行役を務めるか決めていなかったために、どう始めて良いかわからず全員がまごつく場面もありました。始めてのこととは言え、準備不足を痛感した出来事でした。当会発起人の浄瑠璃寺副住職佐伯功勝が、急遽進行役を買って出たので、なんとかその場をしのぐことができました。
署名提出の前に、当会代表の般若寺住職工藤良任と、呼びかけ人のお一人でいらっしゃる宮城泰年師が一言ずつ、この問題に対する思いを語りました。宮城泰年師は迫力のあるお声で最後にひとつ奈良市担当者に質問され、奈良市担当者から「現在はまだ『候補地』であって決まったわけではない」という言葉を引き出されました。
賛同人一覧を奈良市担当者に手渡す宮城泰年師。
記者発表では、ご出席いただいた呼びかけ人の皆さまから、ひとことずつお言葉をちょうだいしました。宮城泰年師は、修験宗の僧侶として日々山々を駆け巡り修行しているお立場から、仏教文化と自然環境とが切り離せないものであることを、実感を込めて強調されました。中村一先生は、浄瑠璃寺の庭園が日本庭園の歴史の中で重要なものであり、それは境内に至る田園風景を含めて大切に守らねばならないものであることを、力をこめて語られました。関川鶴祐師は、日本仏教には「山川草木悉皆成仏」という考え方があることを指摘し、それをまさに体現する浄瑠璃寺とその周辺関係を守ることの意義をお話しになりました。小嶋一郎様は、浄瑠璃寺と周辺地域の歴史的価値に触れながら、多くの人を浄瑠璃寺と当尾の里に案内してきた経験から、この地域がいかに人々に愛されているかを訴えられました。
呼びかけ人の皆さまからは、たいへんすばらしいお言葉を賜りましたが、残念ながら録画録音を怠り、正確なお言葉は記録されておりません。この点も非常に反省するべきところと考えています。次回は当会の記録として撮影を忘れないようにしたいと思います。
記者発表に臨む当会発起人の般若寺住職工藤良任と浄瑠璃寺副住職佐伯功勝。
記者発表のあと、近鉄奈良駅前に移動し、短い時間ではありましたが、今後いっそうの署名を集める決意をこめて街頭署名を行いました。
通行する人々に向けて演説する宮城泰年師。風が強く寒い日であったにもかかわらず、まったく寒そうにされませんでした。
残念ながら、季節は寒い冬。平日昼間の近鉄奈良駅前を通行する人はほとんどいませんでした。
外国から来た観光客にも何をしているか伝わるよう外国語のプラカードも用意しました。
遠く名古屋から駆けつけてくださった南山大学の奥田太郎先生。
奥田太郎先生のさわやかな話術で(?)若いみなさんもたくさん署名してくれました。
その後もぞくぞくと署名してくださる方がいらっしゃり、短い時間でしたが数十筆の署名を集めることが出来ました。今後も署名活動はつづきます。ぜひとも引き続きご協力お願いいたします。
署名用紙を持っているのは、当日スタッフのようにてきぱきと立ち働いてくださった賛同人の岸野亮哉師。